「Communism Museum」という博物館が、プラハの中心部にありまして、
チェコがいままでどのような歴史を辿ってきたかが、小さな博物館でしたが、ぎっしり解説され、わかりやすく説明されていました。
共産主義体制について書かれている展示もありましたが、
特に、人々の生活についても大きく取り上げていたのが印象的な博物館でした。
簡単に言うと・・・
戦後、ソ連の社会主義に押され、チェコは共産化していきました。
最初はそれでうまくいっていた(?)ようでしたが、だんだんと生活が厳しくなっていきます。
博物館の中で、苦しくなっていく生活の例として出されていたのは・・・
「いろいろな物品の価格は統制しているわけですけど、要求が供給を越すと、
利益を出したくなる店員さんたちは、物品を隠し、顧客を選び、闇マーケットができます。」
つまり、価格を上げて秘密に売るということ。それでも、その物品が欲しい顧客はいるわけで、
そういう人は価格が高くなっても買う、しかし、お金を持っていない人は品が市場から消えて買えなくなるから困窮する、というわけで社会が混乱していったそうです。
とくに、医者、修理屋さん、公的書類作成人等がそういった闇マーケットに広がっていったといいます。
医者がいない、いないわけじゃないけど、高額でないと受け付けてくれない・・・
だからといって、緊急に治療が必要な場合は、いくら払ったってお願いをしたくなるのは当然。
スターリン像 |
反米路線をとっていたし、資本主義というものに対して、 断固として受け入れない姿勢をとっていたようです。 |
これも当時の様子をよく表しているなあと感心しました |
1993年にチェコとスロバキアはそれぞれの道を辿ることになりました。
私がテレビ等のニュースで知っている事実は、この出来事です。
その後、内戦を経て、今の国に至ったというわけです。
1969年の1月に、プラハでは「プラハの春」という事件が起こりました。
最近、「アラブの春」という事件がチュニジアから始まり、
アラブ社会に広がっていったのを鮮明に覚えていますが、
現状打破という点では似たような出来事で、そのプラハの春ではソ連軍が戦車でもって、
プラハの広場を占領したことがあり、
それに対してヤン・パラフという10代の青年が抗議し、焼身自殺を図ったというものです。
博物館では、戦車が広場を占領しに来たときの映像、警察隊が市民のデモ隊に対して暴力で応戦していた映像などが流れ、どれも私は初めて見たものばかり・・・。
さすがに、警察隊が警棒で市民を殴っていたシーンを見て、周りの人も私も思わず声を上げてしまいました。
チェコの人に聞いた「社会主義国だったころの話(正確に言うと『連邦共和制だったころの話』)」が本当に興味深かった。
その人が子どもの頃、アメリカやカナダ等の国で履かれていたジーンズが全く手に入らなかったので、秘密裏に売る店に行ってあまりの高額さにたまげて帰ってきたとか、
あの世界のどこに行ってもある黒い炭酸飲料が店頭販売は一切されていなかったので、
これもまた秘密裏に売る店に行ってしか買えず、
クリスマスの日にプレゼントでサンタさんがくれて、一晩中大事に抱えて寝たとか。
いまとはちょっと違う生活スタイルだったと話していたのが印象的でした。
「ピースサイン」、じつはあれは写真を撮るためのものではなくて、
「平和を希求する象徴」でもあるのです。
映像の中で、誇らしげにピースサインを出していた若者を見て、ああ、そうだったんだなと思いました。
ちなみに、ピースサインは自分の方に向けてやると、国によっては相手を侮辱した意味にもなるということを知ってやっている人は日本にどれくらいいるのだろうか・・・。